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SilverRainファンサイト。船長(故)とその妹によるモーラット虐待系ブログ……ではないはず。
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二つ目の依頼も、モーラット関係だった。
たまたま目に付いたのが、その依頼だったのだ。別に深い意味は無い。
一度モーラットを使役し、一度目の依頼でその捕まえ方にも慣れている。それだけだ。

……あの子が一緒だったのは、誤算だったけれども。




それはともかく。
依頼を終えた私は、土産を片手に自室へ入ろうとしていた。

「帰ったわよー。これ、鍋のセットですって。アンタも食べ――って、あれ?」

見当たらない。
モーラットが、どこにもいないのだ。
普段であれば、室内をころころと転がっているか、ペンでらくがきをしているか、隅で眠っているかしていたのに。
かくれんぼのつもりだろうか。
それとも、他のモーラットばかり構われるのにやきもちを焼いて家出?

……まさか、ね。
そのうち見つかるだろうと思い、私はボストンバッグを放り出してベッドに倒れ込んだ。

////////////////////////////

それから数日経っても、モーラットは戻ってくる気配を見せない。
そもそも戻ってきたところで、それが同じモーラットかどうか分かるかと言われても困る。
いつの間にかモーラットのお気に入りになっていた、兄の形見の帽子は机の上に置いたままだ。
目印の帽子が無くては、そこらのモーラットと変わらないのだけれど。

帽子を脇にどけようと持ち上げると、帽子の下に折り畳まれた紙があった。
がさごそと、開く。

そこには、本当に拙い、みみずのような文字でこうあった。

「はるか へ」

///////////////////////////////

私は心のどこかで信じていた。
あの、死んだ兄貴の魂が、モーラットに宿ってるって。
形見の帽子を被って、私を引っ張るモーラット。
バイトを変えて、使役ゴーストから外れても、何故か部屋に居た。

そんな馬鹿みたいな話が、本当だったとしたら?

「……兄貴がいなくたって、こっちは大丈夫よ」
修学旅行の夜。星に向かって言ってみせた強がり。

「大丈夫。何とかやっていけそうよ……アンタ無しで」
心からそう呟けた、二度目の依頼。


今回も、別れの言葉は言えずに終わったけれども。
どうせ死人なら、どこに居たって届くでしょう?

「兄貴の、ばーか。面倒見が良いにも程があるわよ」

私なりの、最後の悪態を贈ってあげる。
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