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SilverRainファンサイト。船長(故)とその妹によるモーラット虐待系ブログ……ではないはず。
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ばたん。

ドアを乱暴に開け閉めする音と共に、遥は自分の部屋に転がり込む。
実に不機嫌な様子で、適当に上着を脱いで床に放り投げると、ベッドにうつ伏せで倒れこんだ。

モーラットが、遥の様子を見ようとふわふわとベッドの上を漂う。


*遥はモーラットに話しかけています。兄の声は届いていません。

「……」

(なんだね妹よ。その顔は)

「何よ、あの蜘蛛」

(ああ、彼か)

「蜘蛛なんて、当分見たくなかったのに。土蜘蛛の巫女も避けてたのに。何よ、突然」

(ふむ。まあ、俺が死んだ直接の原因は彼に無いんだがなあ)

「訳分からないし。人を馬鹿にしたような態度だし」

(それは違うと思うが)

「それでいて許せとか!もうっ!」

(痛い痛い痛い。……モーラットに当たるなよ)

「こっちは心の整理がついてないのよ!もう半年経ったけど、考えてなんかいなかったのよ! ……いずれ、土蜘蛛達と接する時が来るのは、分かってたけど」

(ふむ……)

/////////////////////////////////////////////////////////////////////

息絶える直前の話だ。

土蜘蛛戦争、三巡目。
結果として、屋敷への侵攻は半々の戦果に終わった。

小規模な集団に分かれ、能力者と土蜘蛛との戦闘が屋敷中で行われる中、約束を果たす為に俺は戦場を走り続ける。
追い縋る蜘蛛童を傷だらけのガトリングで薙ぎ払いながら進み、やっとの事で名も知らぬ彼女の元へと辿り着いた。
――だが、その戦場は負け戦の様相を呈していた。

半々の確率。
残念ながら、運命はコインの裏を示した訳だ。

やがて決着が付き、重傷者が傷の軽い者に抱えられながら撤退する中、後続の、もしくは屋敷内の別の戦場で勝利を収めた能力者達が、こちら側にやってくるまでの短い時間。
俺はもう動く事すらままならず、残った力でガトリングを杖に立ち上がり、火狐の力で周囲を更に炎上させる。要は、可能な限り足止めして撤退を成功させる……それだけだ。
巫女の放った矢に貫かれ、既に止まった心臓。能力者の生き汚さが見せる、最後の風景――炎に包まれた屋敷の中を揺らめく、幽霊のような土蜘蛛の影。

「……お前」

目の前を遮る大きな影が、俺に話しかけてきた。
俺は死ぬのに忙しくて、答えられるだけの力ももう残っているか怪しいと言うのに、影は言葉を繋ぐ。

「何故、笑っている?これから死ぬというのに」

影はそう問いを投げかけてきた。
俺は答えた。

「約束を守って……誰かを、護って……はは、成り行きとはいえ……上々だろう?」

影はふむ、と唸った。
後続の能力者達の声が段々と近づいてくる。足止めは無事成功したようだ。

力尽きる俺の前から、影は去っていった。

////////////////////////////////////////////////////////

(思えばあの影が、七臥とか言う鋏角衆だったのか。戦場には確かに鋏角衆がいたが)

「もう。どうせなら、殺した巫女が出てくればいいのに。そうすれば、恨むだけでいいのに。殴ってしまえば、解決するかもしれないのに」

「ああ言われたら、恨む訳にもいかないじゃないの……」


モーラットは無言のまま、遥に寄り添う。
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