天から伸びる、蜘蛛の糸（理）

終わった、か。

土蜘蛛という種族との戦いは、我々能力者の勝利。
そして……２１名の戦死者に、追悼を。

死んでいる俺が悼むのも何か変な気分だが。

「来訪者」

彼ら土蜘蛛のやりとりなど、我々は知る由も無い。
いや、あの場面は……予報士が読み取ったものか？

ファーストコンタクトに失敗した我々と土蜘蛛一族には、和解の道は残されていなかった。
……こちら側に死亡者が出た時、学園の取るべき道は決まってしまったのだろう。

復讐を。
決着を、と。

引き金を引いた一人として、責任を感じているのだが……詮無き話でもある。
このような事実があろうと、誰が予想し得ただろうか。

そもそも、どうして誰一人この事実を知らなかったのか。
学園の上層部にいるはずの、旧世代の能力者達は本当に事実を知らなかったのか。

人間を守る人間として我々能力者は在る。

そして、全ての人間を守ることは出来ない。
予報士の言葉を聞いてみろ。
既に犠牲者の出たゴーストを倒す……そんな事件が、幾つある？
我々に出来る事は、被害を最小限に留めるだけだ。

戦闘と、交渉と。
より被害の少ない選択枝を、皆には選んで欲しい。

――犬死にした、愚かな男の戯言だ。